マッスルバック形状のアイアンが増えています。最近、注目されているマッスルバックのアイアンについて触れつつ、アイアン市場の状況についても取り上げてみたいと思います。
目次
アイアンはやさしい方向にシフトしている
最近のアイアンの流れを列挙すると、以下の3つが挙げられると思います。
- タングステン
- ストロングロフト
- 中空構造
タングステン素材の活用
タングステンは、比重の重い金属としてゴルフクラブでは重宝されている素材です。カーボンやチタンといった軽い素材により軽量化を進める一方、重心を強制的・意図的に変えるために、重い金属であるタングステンを部分的に配置します。
例えば、アイアンで言えば、ネックに重量が集まりがちなため、トゥ側にタングステンを搭載し、重心位置をフェースセンターに近づけたり、左右慣性モーメントを大きくしたりします。
ストロングロフト化
ストロングロフトは、飛距離重視の流れの中、上よりも前に飛ばすため、ロフトを立てる傾向にあります。
一昔前まではアベレージ向けモデルのアイアンの7番のロフト角は30°ぐらいでした。しかし、最近では25°、26°といった5番か6番かといったぐらいロフトが立ったモデルが増えています。
アイアンは飛ばす道具ではないといいつつも、飛距離が出た方が楽だというプロや上級者も多く、ストロングロフトのニーズはなかなか強いものがあります。
中空構造
最近のアイアンでは、ぱっとみ中空と分からず、マッスルバッグに見えるものも少なくありません。例えば、ONOFFの黒は、ぱっとみ中空と分かりづらいです。
中空構造のアイアンは、見た目がシャープな上、中にウェイトを搭載しやすく、フェースも薄く仕上げられます。
飛距離、寛容性、外観で優位性を出しやすいため、中空構造のアイアンが、アスリート向け、アベレージ向けでも増えつつあります。
でも、難しいはずのマッスルバックが増えている?
ところが、最近はマッスルバックアイアンの話題が増えています。
ここ最近の注目されているマッスルバッグとしては、以下のモデルが挙げられます。
PING ブループリントアイアン
PING史上で初となるマッスルバッグアイアンです。なかなかの値段ですが、外観の格好良さ、そして、打感の良さから、上級者からの評価は上々です。
スリクソン Z-フォージドアイアン
スリクソンのZ85シリーズでは、Z985アイアンの発売がなく、マッスルバックは廃止されたようにも思えましたが、翌年にはZ-FORGEDアイアンが発売となっています。
マッスルバッグとしては意外にも寛容性があるとの評価が多く聞かれます。ただし、アベレージゴルファーが扱うと歯が立たないという声が聞かれますので、基本的に上級者向けのモデルです。
本間ゴルフ TR20 Bアイアン
本間ゴルフのTR20シリーズは、TR20 P、TR20 Vに加えて、マッスルバックのTR20 Bアイアンが発売されています。
3モデルのバックフェースの変化を見る限り、数年前のスリクソンのZシリーズかと思うようなキャビティー、ハーフキャビティ、マッスルバックという構成になっています。
マッスルバックの需要はなくならない
タングステン、中空構造のアイアンが増え、中・上級者でもやさしさを取り入れる傾向にあり、マッスルバック形状のアイアンがなくなるのでは?といった話が出ることもあります。
しかし、軟鉄鍛造の打感、反応性を重視するゴルファーにとっては、中空ではなかなか代用とはならず、マッスルバックの需要が消えることは無いと思います。
どちらかと言えば、マッスルバックでありながら低重心・深重心度合いを高めたり、タイトリストのCO-FORGEDといった技術でタングステンを取り入れた鍛造を実現することで、やさしいマッスルバックが増えて行くように思われます。
実際、スリクソンのZ-フォージドアイアンは、マッスルバックの割に許容性もあるという上級者の声が多く、女子プロゴルファーの間でも使用されていて、話題となっています。