イチローの凄さ。
それは万人が知るところで、枚挙にいとまがないですが、その中でも伝説的な出来事がいくつかあります。
本記事では、球界きっての名捕手、古田敦也が身震いしたと言われているイチローとの対戦を取り上げます。
舞台はオールスターでのイチローVS上原
古田敦也が身震いしたと言われるイチローが登場する舞台は、1999年のオールスターです。
この年のオールスターは、上原浩治と松坂大輔のスーパールーキーの先発。
これだけでも痺れるようなマッチングですね。
そして、衝撃のシーンは1回の裏のパリーグの攻撃。
先頭打者は、西武の松井稼頭央。まだホームランバッターとしての覚醒はしていませんが、この年、3年連続の3割で盗塁王も獲得し、球界最高のリーディングオフマンです。
高めのストレートをテンポよく投じ、ファール、空振り、空振りで三球三振。
ネクストバッターはロッテの小坂誠。先ほどと打って変わってスライダー、フォーク、フォークで、見逃し、空振り、空振りでまたも三球三振。
俄然、スタジアムが盛り上がる中、登場するのはイチローです。
イチローvs上原、勝負の分かれ目は、上原の「首振り」
2者連続の三球三振で、1回から早くも最高のボルテージに達したこの試合。
3番打者で登場するのは、勿論、イチローです。
この年のイチローは、一軍定着から6年目を迎えた年で、翌年を最後にメジャーへ渡っています。ちなみに、打率は翌年に.387という生涯最高打率を記録していますが、超打率はこの年の1999年が.572で最高で、ある意味、最も強打者だった時です。
小坂との勝負とは打って変わって、一球目はインハイストレートをびしっと決めるも僅かにボール。
二球目は先ほどよりやや低めながらも高めの真っ直ぐ、コースはさらにきついインコースで、イチローが思い切り空振り。
上原のストレーとは誰も打ち返せないかのうな、そんな球状の反応が大きな歓声となって球状の盛り上がりを更に高めます。
三球目も強気のインハイにキレイなストレートですが、僅かにボール。
ここまでイチローに3級続けてインハイストレーとは、上原の凄さを物語っています。
そして、4球目。
ここで上原はフォークボールを放ってイチローは大きく空振り。
この後、イチローは古田に何か語り掛けていますが、どんな内容かは当事者のみが知るのみです。
そして、勝負の5球目。
古田はストレートのサインを出しますが、上原はここで首を振ります。
選んだ球種は先ほど空振りを奪ったフォークボールです。
結果、イチローは見事に球種を読み切って、センターバックスクリーンにホームランを叩き込みます。
4球目はフォークボールを空振りしていますが、上原が首を振って球種を変えたのを見て、狙い球をフォークボールに絞ったイチローに対して、古田はその凄さに寒気が生じて身震いしたそうです。
こういった事情を知ってから観てみると、改めてイチローの凄さにこちらも鳥肌が立ちます。
【後日談】上原は本当はストレートを投げたかった
この件について、上原浩治自身が引退後に当時の事情を語っています。
5球目、古田敦也からのサインはストレートでしたが、イチローに当ててしまいそうという予感があり、サインに首を振ってフォークボールを選択したそうです。
球界の至宝ですから、オールスターというお祭り感のある中で、致命的なデッドボールなど決して許される雰囲気ではないでしょう。
結果、フォークボールを選び、それを読み切ったイチローにキレイに仕留められたという一場面です。
打たれた上原も後悔を口にしつつ、この勝負・この結果は良い思い出だと思っているように見えます。
トップアスリートの勝負であるからこそ、勝ち負けに関係なく、満足感があり、今もそれが残っているのかもしれませんね。
このホームランを見て、笑顔の松坂大輔も印象的です。